2つの天地創造
旧約聖書を批判的に分析研究する学問を旧約聖書学の内、文書仮説、高等批評といい、その研究の結果、『創世記』では、2つの立場
(信仰)の「天地創造」が併記されていることが明らかになったと主張される。ただし、保守的な教会はこれを認めていない。
『創世記』1章1節 - 2章4節前半:「祭司記者資料」
『創世記』1章1節 - 2章4節前半では、創造主をエロヒムと呼ぶ(なお漢訳聖書では「神」と訳し、明治の日本の聖書も訳語を引き継
いだ)。 この物語の部分は、祭司記者資料と呼ばれる(頭文字を取りP資料ともいう)。紀元前587年に南王国ユダが新バビロニア帝
国に敗れ、エルサレム神殿が徹底的に破壊され、その当時の指導者層の人々がバビロニアに強制連行された(これをバビロニア捕囚
という)。規模は、数千人 - 数万人と言われている。圧倒的なバビロニアの神々の宗教(主神マルドゥク)に囲まれ、今までの神ヤ
ハウェ信仰が危機の状態に陥り、民族が自信を失っていた。この様な状況の下で祭司職人(現在祭司記者と呼んでいる)の中から、
バビロニアの神話に対抗する形で、自分たちの信仰書を作り出し(創造信仰)、この危機状況から再び生きる力を生み出していった
。
バビロニアの創造物語は紀元前1500年頃に作られたと言われており、この祭司記者たちはその内容を知っていて、それを否定し乗り
越えるかたちで神ヤハウェを受け止め直して信仰を記述している。例えば、その神話では、新バビロニアでは極端な階層社会であり
、その頂点に立つ王だけが神・神の子であり政治支配の正当化を強めているが、『創世記』では人間は全て神から神の似姿として作
り出され平等(みな神の子である)であることが主張され信仰告白されている。このように『創世記』は、素朴な伝承・神話などで
はなく、当時の知識階層が執筆した宗教書(表現形態は物語ではあるが神学書)である点が世界の他の天地創造物語とは異なる。
『創世記』2章4節後半 - 3章:「ヤハウィスト資料」
『創世記』2章4節後半 - 3章では、創造主をヤハウェ・エロヒムと呼ぶ(日本では主なる神または神である主と訳されている)。 こ
の物語の部分は、ヤハウィスト(ヤーウィスト)資料と呼ばれる(同じくJ資料ともいう)。以前の学説では、ヤハウィスト(ヤーウ
ィスト)資料は祭司記者資料よりも古いとされてきたが、研究が進み、表現形式・信仰内容も知識文学に近い部分もあり、現在では
、上記バビロニア捕囚よりも後代という説が強くなってきている。この場合も、神話というものではなく、知識階層の人々が自分た
ちの信仰を執筆しており、ヤハウェ・エロヒムと人間に対し深い洞察がなされており、それが現在に至るまで救いを生み出している
。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
宗教絵画などでよく題材となることで有名ですよね。
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